まず、最初に【下の廊下】について
日本三大峡谷の1つ『黒部峡谷』の『黒部ダム』から『仙人谷ダム』までの登山道です。
黒部ダム建設の条件として整備が義務付けられています。毎年、関西電力が登山道の保全また
整備を行っています。
登山道は大規模な峡谷沿いにあり、災害や残雪も多い為、年内に通行出来る期間は1ヶ月から
2ヶ月程度。(9月から10月)通行出来ない事もあります。
10月頃になると気温も下がる為、防寒対策も必要になると思います。
黒部ダムを境に下流域を【下の廊下】上流域を【上の廊下】といいます。【上の廊下】には
登山道は無く、川を遡るといった沢登りになる為、登山以外の技術や体力といったものが必要
となるようです。その他には黒部湖に沈んだ【中の廊下】や【奥の廊下】といった場所もある
そうです。特に人気で有名なのが【下の廊下】です。
何故、人気なのかというと、この登山道の奥地に【阿曽原温泉】という秘湯があるからです。
その秘湯の源泉は【高熱隋道】といわれるトンネル工事の際に湧き出した熱水です。
その秘湯をもとめて毎年、多くの登山者が命がけで訪れるのです。
【高熱隋道】
黒部第三ダムの建設の為の資材運搬ルートとして掘り進められたトンネル。
最高温度が165℃にまで達する岩盤を堀削する無謀極まりない難工事によって貫通させた
国内屈指の秘境にあるトンネルとして知られています。
地熱によって発破用のダイナマイトが自然発火。また黒部峡谷の独特の地形により泡雪崩が
発生する等、この工事により全工区で300人余りの犠牲者を出しました。
当時の労働者が日本という国の為にどれほど命をかけてきたのか。身をもって知る事ができる
貴重な場所でもあります。
容易に訪れる事が出来ない秘境に、その阿曽原温泉はあります。
※黒部第三ダム(仙人谷ダム)は第二次世界大戦時の軍事力増強の為の必要な電力を確保する
為に建設されたダムで欅平にある黒部第三発電所で取水し発電が行われています。
※黒部第四ダム(くろよん)は関西経済の発展に必要な電力を確保する為に建設されたダムで
発電設備は仙人谷ダムから3kmほど上流付近にあります。
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